ベイズ学習における汎化能力の解析において事後予測分布の規格化定数(物理で言えば分配関数) \(Z\) の対数の観測データの発生分布に関する期待値 \[E[\log Z]\] を評価する必要があるがこれは一般に解析的には求められない. 一方,モデルによっては自然数 \(n\) に対して \(Z^n\) の期待値を求めることが可能な場合がある. そのような場合に,\(n\) が自然数であることを忘れて \[\lim_{n\to0+} \frac{E[Z^n] - 1}{n}=E[\log Z]\] という関係式から当初求めたかった値を近似的に計算するというのがレプリカ法である.
これが最後まで解析的に計算できるのは,限られたモデルである. 一般にはさらにレプリカ対称性などのいくつかの仮定をおき,鞍点法やそのほかの近似法を併用するなど複雑な手順を経る必要があることが多い. 数学的には議論が多いが,複雑なモデルの解析には強力な力を発揮する. --あかほ