#author("2023-06-06T20:23:19+00:00","default:ibisforest","ibisforest")
* 人工知能学会第37回全国大会 [#af9bb00d]

- このページはしましまが[[人工知能学会全国大会2023>人工知能学会全国大会#JSAI2023]]に参加してとったメモです.私の主観や勘違いが含まれていたり,私が全く分かってなかったりしていますので,その点を注意してご覧ください.誤りがあれば,指摘してください.

- ホームページ: http://ai-gakkai.or.jp/jsai2023/
- 日時:2023年6月6日(火)〜 6月9日(金)
- 会場:熊本城ホール + オンライン

#contents

* 6月6日(火)1日目 [#dc89406d]

* 機械に(人間の)知能を与えるというのはどういうことなのか [#p8e34e1c]
津本 周作1, 2 (1. 島根大学)

- 参考文献:連合野ハンドブック,前頭葉のしくみ
- 高次の意識をもった動物にとって,過去は「想起」によって,未来は「想像」によって構築される頭の中の産物
- 主張
-- 過去脳・現在脳の機能はある程度,計算機の上に実現できている
-- 未来脳の機能はまだ不十分:手続き記憶の記憶,手続きの実行への価値判断
--- 辺縁系・小脳にもある強化学習や教師あり学習を,実際に記憶に定着定着させることと,その記憶を想起する機能の実現
- 神経系の研究:動物実験,画像検査,神経内科
-- DTI(拡張テンソルイメージング)=神経繊維束が分かるようになった
- 視覚:where経路=頭頂連合野,方向・位置,what経路=上側頭溝,形・色 → 深層学習でもモデル化している
-- V2(線を認識)→ 文字全般に読めなくなる,頭頂連合野 → 漢字だけ読めなくなる
-- where経路に障害 → 服の着方は分かるが,行動としては着れなくなる
- 言語処理:視覚同様に複数の経路が存在している
- 未来脳:前頭葉
-- 前頭葉の障害→物事や行動を計画し,順序だてて行えなくなる→前頭側頭型認知症 (FTD)
-- 時刻表的行動:ある時間に何か行動しなければならないと強く思う
- 前頭前野:執行機能=自動的過程と制御過程,習慣を上書きする行動,制御的過程を自動過程に
-- 階層的な記憶の形式=前の上位のものほど恣意的で抽象的
- 内側前頭前野=デフォルトモードネットワーク
- 腹内側前頭前野
- 眼窩部前頭前野=主観的価値の形成と自己を巡る価値の記憶,報酬に基づく価値判断
- 脳内の予測誤差モデル=大脳皮質⇔扁桃体=脅威予測,基底核=報酬予測,小脳
-- ドーパミン・アドレナリンが関係して強化学習の機能を実現
- 海馬=手続き記憶(スキーマ)の学習と記憶
- 前頭葉の機能の機能実現には多数の連携機能が必要であるが,学習の機能が巧妙に埋め込まれている

- 論理的思考=論理的思考のみが欠落するような症状がないため,解明が進んでいない

* アートにおいても敗北しつつある人間〜人の美意識もAIにハックされるのか?〜 [#rbe0056c]
中川 裕志、武田 英明、大屋 雄裕、高橋 未玲

** 描くのどの部分が創造的なのか? [#wee4a9ba]
荒牧 英治

- 描画のテクニックはいかに機械的に描くかを追求してきた → その延長が画像生成
-- 写実はモデルを見て描く,想像で描くな
- 人間が描く意味は → そうすることが好きである

** 人の美意識もAIにハックされるのか? [#z2f197a7]
中ザワ ヒデキ

- 人工知能美学芸術研究会,NPO法人AI愛護団体
- プロンプトによる自動生成 → 19世紀の写真機と同じ衝撃か?
- 写真
-- 肖像画家を駆逐・写真家の登場 → 実用
-- 抽象美術の誕生 → 純粋な芸術
- 生成AI
-- クライアントの依頼によるイラストは代替
-- 新たな芸術の誕生,コンセプチュアル・アート(コンセプトアートとは違うもの)

- この先,美意識と自意識のあるAIの登場したら
-- このときは芸術の終焉
-- 自らの価値関数と,生成作品に著作権を認める状況

- LaMDA騒動:LLMに意識があるように見える
-- 中動態=受動態と能動態の中間状態 → 集合的に動かされる

** コンテンツ産業で活用あれる生成系AIの事例とビジネスの展望 [#g7faa924]
高橋 ミレイ

- ゲーム産業の生成AIツール:2Dが図,3Dアートワーク,アニメーション,レベルデザイン・ワールド
-- Robloxのクリエータツール,ユーザが作ったゲームの収益化プラットフォーム → 参入障壁の低下
-- Musiioのメタデータ自動割当AI → 音楽のジャンルやムード
-- Endel 睡眠用や集中を高めるなどの目的に応じた音楽の生成

** 法・哲学の観点から [#x906fc8e]
大屋雄裕

- 因果関係は検証可能だが,正当化は検証できない
-- なぜアート → 自己首長による価値基準を,社会に受容させないといけない
-- 法もその正当性を受容させる点ではアート
- 例示と反復で価値判断を習得させてきた → 結果だけで価値判断を習得できるか?
- 著作権法
-- 著作権法は表現のみで,アイデアは保護しない
-- 表現者以外に関係者がいる場合 → 代表に権利を認めて,あとの分配は代表者に任せる

** 画像生成AI,Midjourneyを使ってみて [#z3290386]
中川 裕志

- Midjourney には得意不得意がある
-- 「くたびれた初老のおじさん」はなかなか書けない
-- 白い背景で左上隅から右下隅に1本の線を引く といった記述的なものはできない
- 拡散モデルは,元画像にノイズをのせる → 元画像がないとできない
-- 著作権法30条4における享受性(作品としてみるもの,背後に写りこんだりは享受性がない)の解釈

** 画像生成AIと社会とのかかわり [#ze8a5c81]
武田さん

- AIに対する恐怖:AI人類脅威論,AI革命による社会秩序の変化,AI偽実の害毒
- 自動運転で運転手の失業は話題にならない ⇔ 文書の自動化は話題になる → なぜ
- ラッダイト運動,赤旗法 → 出現した技術は必ず使われる
- 人が絵を描く理由:表現の発露,良いさくひんを作る,報酬・名声,コミュニケーション,自らの技術向上
- 生成AIの社会での課題:学習データの権利,データ選択の創造性,入力の偽実,出力データの権利・ビジネス,モデルの権利・ビジネス

* 討論 [#f91f1613]

- これを芸術と認めなければこの先,残れないと思わせる
-- 第2次世界大戦前はアメリカはヨーロッパの芸術ほど認められていなかった → 社会などいろいろな価値に影響するものがある → AIの生成するものにも同様のことが起きうる
- NPC同士の会話で自己学習 → そのうち何らかの価値観が生じるか → 価値観の定義はなく,結局は相互承認

* 生成AIに関しての特別企画「日本は生成AIを起爆剤にできるのか?」 [#n1409294]

- 生成AIの技術革新の貢献は?
- ChatGPT を追い越した生成AIとは?
- 高度生成AIを作ってどうなるか?

** 栗原さん [#q805df21]

- 創造支援,効率化ツール,大規模生成AIをインフラに
- シンボル記述からプロンプトへの変換して制御しやすく,エージェントインタラクションからの大規模モデル
- 知能の担い手をAIに

** 医療における可能性 [#p0180a70]
津本さん

- 多くのマルチモーダルな医療情報を統合処理できる→文書作成,医療情報の要約
- モデルを使った推論機構
- 簡単な事例でのAI対処

** 松尾さん [#l2f4406a]

- AI戦略会議:2回の会合でまとめを作った
- 社会的リスクへの対応,LLMへの計算資源提供,LLMの活用
- LLMはマルチモーダル情報を扱うように,行動を陽にモデル化,ネット上の情報を使い切って学習データの飽和
- 現状はキラーアプリではない→10兆円事業への貢献,みんなで使って工夫する

** ロボットの観点から [#u0a24dd4]
稲邑 哲也さん

- PaLM-E:映像と言語からのプランニング,RT-1:映像・言語からプランニングし信号生成まで
- RobotCup@Home:GPTの利用で急速に向上,Human Navigationタスクは容易に解決
- Worldモデル=モデルベース強化学習で使う
- 課題:データの構築コスト,ロボットの形状にモデルが依存してしまう,

** 相澤さん [#gb7b6787]

- 半年で,NLP研究がビッグサイエンスに変化した
- 再現性ではなく社会環境下での動作重視,観測できない理想状態に対するバイアス
- GPT4は日本の医師国家試験に合格レベル(レベル自体に驚きはない)→ 日本語は人間が見ても分からないトークンとして入力されるが,正しい結果が出てくる理由
- 喫緊の課題に取り組む,人間の認知機構の解明,中身を解析できるようにする環境整備

** 計算社会科学的視点 [#c6435cd0]
鳥海さん

- 生成AIは,情報の活用の効率化→言語の壁がなくなる
- 生成AIは要素技術→システム化,社会システムの中で動作するように
- 人間の意思決定支援,自分より賢いシステムによる価値観の変化
-- 将棋AI:すごい手を思いつく天才→AIの手を間違えない天才

** 人類との共生を自ずと目指す超知的デジタル生命体をつくり出す [#qb7b61d8]
山川さん

- 万人の幸福と人類の存続の間のトレードオフの緩和をAIが行う
- AI Alignment:AIのリスクを軽減する取り組み
- 計画的な超知能の解放


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