第10回 情報論的学習理論と機械学習研究会†
このページはしましまが 第10回電子情報通信学会 情報論的学習理論と機械学習研究会 に参加してとったメモです.私の主観や勘違いが含まれていたり,私が全く分かってなかったりしていますので,その点を注意してご覧ください.誤りがあれば,指摘してください.
9月2日†
一般セッション1†
公正・差別配慮型マイニングのサーベイ†
○神嶌敏弘(産総研)
木構造を用いたグラフ分割の構造変化検知†
○佐藤翔一・山西健司(東大)
発見的自己組織化の原理を用いてニューラルネットワーク構造を自己組織化する改良形GMDH-typeニューラルネットワークによる肝臓癌の医用画像診断†
○近藤 正・上野淳二・高尾正一郎(徳島大)
- GMDH-type NN:活性化関数の選択を自動的に行える.構造の自己最適化も行う.
[特別講演]IBMにおける機械学習研究と応用†
○井手 剛(IBM)
IBM Researchの概要
- ストラテジーエリア:数理,インダストリ,サービス,ソフト,システム,テクノロジー,基礎科学研究
- 最近は研究所を世界に広げている,ナイロビにアフリカ研究所 → 新興国市場にフォーカス,研究所はビジネスの先遣隊
- 1970:給料は本社から → 1980:社内連携 → 1990:顧客と連携 → 2000:サービス科学 → 2010:協業を目的とするパートナーシップ
- BAO (business analytics & optimization):コンサル部隊,問題の定式化ができてればツールを使って解決 ← 研究部門は問題の定式化をする
- Global Technology Outlook:自分の提案が採択されるとファンドで優遇
- 分析の重要性:歴史的必然性 ITインフラ業界の成熟 → インテリジェントな付加価値の必要性,IT主導=Analytics主導
IBM Reserach数理科学部門の紹介
- ビジネスの差別化のために,各部門とのコラボで人気
- TACOS:ニューヨーク州政府,徴税システム,マルコフ決定過程を使って,徴税のための行動を決める
- Deep QA:Jeopardy で勝ったシステム「Watson」,オープンドメインのQAであるところが大変 → 機械学習の汎化能力のたまもの
- IBM研究部門における重要研究テーマのカテゴリ:Grand Challenge (長期・少人数),Strategic Initiatives (短期,少人数),大人数短期のプロジェクト
IBM東京基礎研究所・数理科学部門の紹介
- 機械学習・シミュレーション・最適化,研究者は2ケタ
- Megaffic:交通シミュレーション, PDOS:鉄鋼生産(スケジューリング,異常検知), DVA< SimPHOMICS:広告の影響評価, Anaconda, QUINTET:電池の劣化解析
- 重点領域:複雑に相互作用するシステムの最適化,意志決定の科学,センサーデータの解析
- 交通シミュレーション:マクロ観測量からミクロパラメータ → 個人のリスクのモデル化 → 交通システムの改良に生かす
- 意志決定の科学:リスクがある場合の意志決定,蓄電池の充放電計画
- センサーデータ解析:ビジネスとしては異常検知が多い,船舶の状態監視:海の状態にセンサーが影響されるので難しかったが解決,自動車組み立て工の作業ミス監視:人間に付けた加速度センサーを付けて熟練者と比べる
プロジェクト事例:トラジェトリ解析
- トラジェトリ:GPSのトラッキングデータなど,時系列にたどれる軌跡
- トラジェクトリに対する回帰:ネットワーク上でどのパスをたどるのか?
- ネットワークが自明でない問題も多く扱いが難しい
- ネット上のパスの各辺のコストの和が全体のコストになっていれば問題は比較的単純
- 経路の多様性はほぼ無限なので,リンク同士の類似度などローカルな特徴を使わないとうまくいかない
- ベースラインの方法が分かってから,高度な方法へ移行
- 応用:交通での到着時間の予測,電池の電荷保持率(劣化状況)を過去の温度状況などの履歴から予測
一般セッション2†
Conformal Geometric Algebraを用いた道路物理境界検出†
○石田皓之・目黒淳一・小島祥子・内藤貴志(豊田中研)
- 道路の幅などのデータベースを安価に生成したい
- 手順:ステレオ動画入力 + ステレオマッチング + 形状抽出で物理境界(縁石・ガードレールなど)を抽出
- 縁石と曲線道路が特に難しい → ことなる形状を同一モデルで表現する → conformal geometric algebra
- CGA:3次元の空間を5次元に拡張,点・平面・球に表現可能,図形間の演算が可能
- 平面上に集まっていたりする点集合を見つけ出したりする
画像編集により挿入されたテキスト領域の検出†
○平野廣美(楽天技研)・岡部 誠(電通大/JST)
- 画像中の文字でも,後から人が加えた文字を見つけ出す
- 誇大表示・薬事法違反の表現になるものの検出,店舗の画像から店舗で加えた文字を除外した画像を商品の代表画像にしたい
- superconer:画像の色と,直線性を利用
[パネル討論]企業ニーズセッション†
原 豪紀(大日本印刷)「求む現実世界とオンラインを繋ぐ技術」†
- O2O:online 2 offline ネットの活動が実世界に影響
- Group on:オンラインから店舗へ,Star Player:Heinekenのキャンペーンで,サッカーの試合の様子の予測でポイント
- Flow(Amazon):店舗からオンラインへ,バーコードからAmazonでの価格を示す
展示施設
- ルーブル美術館:DNP Museum Lab
- 所蔵品を貸与してもらい,解説コンテンツをIT技術で表示
- 専用デバイスコースの案内
- パンフレットのマーカーによる表示
- 吉村作治の古代七つの文明展
- 太陽の舟など地下の様子などをARで表示,マーカーは周りが暗いのでLEDなど
- 遺跡に行くと,古代の街の様子が表示される
必要だった技術
- ロバスト性:証明などのコントロールがない,安定した可動性
- 入出力技術:高解像度に対応したリアルタイム画像処理技術
- 難しくない,怖くない,噛みつかない:UXの問題,高齢だとITを敬遠,機械っぽくしない,マーカーも良くない
- サービスデザイン:生活者にメリットのある製品サービス,Human Centered Design
- EJLAB:設定したお題に一般から解決策を得る,experience journey map
松田晃一(ソニー・コンピュータエンタテインメント)†
要素技術→アプリが重要
- 必須機能を超えた高機能や多機能への消費者の投資は,かなり厳選される
- 経験(体験)価値経済:数値化されたスペックが価値にならない
- サービスの喫茶店から,スターバックスで過ごす新たな体験
- 新ユーザ像:商品に対して,直感的にすぐに判断する
- 要素技術はどは70%でも,全体として良いもの
今後
- 新しいアプリ,サービス,コンテンツを生み出す研究
- 要素技術をmarketplaceなどでアプリとして売ってしまう
栄藤 稔(NTTドコモ)「スティーブンソンのロコモーション号はMarr Prizeを貰えたか?」†
- 蒸気機関車は既存の技術の組み合わせだった
- シリコンバレーでも,顧客や技術などのアセットの組み合わせ
- 基礎研究と応用研究は明確に区別すべきか?
- MIRU優秀賞 と Marr Prizeでの特許で引用数,前者はほぼ 0,後者も viola-jones ぐらい
- Marr Prize でもイントロに産業応用について述べているのは少ない
- 課題設定が複雑化されすぎている?効果の検証が限られたデータ.
- 大学:オリジナリティ/Invention ⇔ 企業:価値創造/Innovation
- コンドラチェフの波:前半はinstruction 後半はdeployment,現在はその間
鷲見和彦(青学大,元三菱電機)†
- 良い研究:パラダイムシフト
- 良い開発:産業構造の変化,利益・認知の向上に貢献
- 技術としてハイレベルな開発事例:特定領域に特化したものが多い
- 技術的先進性 vs 事業的価値:基本的には相容れない
- 事業的成功事例
- 人感知センサー付きのエアコン:16ビットのCPUで処理可能
- 粒子線治療:位置決めを高速化し売れたが,200億ぐらいするが10台しか売れなかった
- 技術的成功例
- 米袋を積み替えられるロボットビジョン → 人手には勝てなかった
- 道路監視システム → 当時の政策では100億ぐらいのはずだったが,そんなに需要はなかった
- 顧客が良いと思う商品:『モノより思い出』
- 成功するモデル:ユーザを知っている人と,技術を集めるコーディネーター
- ダメな人:ニーズを聞いてから考え始める,よく似た技術がすでにあるのに始める,条件の変化に弱い
- Open Innovation:GE はコーディネーションを重視,Innocentive:ネット上で解決策を公募