人工知能学会第24回全国大会

このページはしましま人工知能学会全国大会2010に参加してとったメモです.私の主観や勘違いが含まれていたり,私が全く分かってなかったりしていますので,その点を注意してご覧ください.誤りがあれば,指摘してください.

6 月 9 日 (水)

1A1 機械学習「分類学習」

1A1-1 ラベル信頼度を用いたブースティング手法のインバランスデータへの応用

中田 康太,村上 知子(株式会社東芝研究開発センター)

  • 高精度少数データ + 低精度多数データ の混合データからの学習
  • Credit-AdaBoost:低精度データにラベルの信頼度を付ける
    • 信頼度の計算には近傍の高精度データを利用
  • クラス不均衡があると,多い方のクラスが近傍に入りやすい
    • 事例の重み付けと,近傍の範囲の調整をする

1A1-2 ARMAモデルベース時系列クラスタリング

末松 伸朗,林 朗(広島市立大学大学院情報科学研究科知能工学専攻)

  • ARMA のDirichlet過程混合モデル
    • ARMA には共役事前分布がないので工夫が必要
    • 最初の周辺尤度の計算は annealed importance sampling を用いたモンテカルロ積分
    • サンプリングする分布が単純にはならないので,Gibbsサンプラーの代わりにMetropolis-Hastings法を導入してかわす

1A1-3 クラス所属確率を利用したアンサンブル学習

高橋 和子(敬愛大学 国際学部国際学科)

  • bagging の凝集で,単純多数決ではなく,クラスへの所属確率が最も高い分類器を信頼

1A1-4 高次元確率空間における高精度期待値ベイス推定の検討

松田 衆治,Nguyen Ha Hon,鷲尾 隆,河原 吉伸,清水 昌平,猪口 明博(大阪大学 産業科学研究所)

  • 背景知識の分布 P_L と,観測に基づく分布 P_D の両方を考慮した P_L P_D / Z という分布を考える
  • 高次元だと,多くのデータは等方に分布してしまい,少数の中心付近のデータに支配されてしまう
  • データを分布の極大点集める操作をすることで,密度推定の精度が向上する (?)

1M1 基調講演『言語理解と知識 -情報空間の構造化に向けて-』

辻井 潤一 (東京大学大学院 情報理工学系研究科)

概要:Webなど,爆発的に増大する情報をその意味に基づいてうまく構造化することは,現在の情報技術にとって最大の課題の一つである.膨大な量のテキストから必要な情報を取り出したり,新たな情報を紡ぎだしたりするテキストマイニング技術は,このチャレンジの中核の技術である.マイニング技術は,これまで量の技術として発展してきたが,本講演では,言語の構造と意味とを結びつける言語理解技術がマイニングにどのように寄与し得るかの展望,および,そのための基盤技術の現状と課題について議論する.

  • MEDLINEの文献数の増加:超線形,現在は1900万,年50万の増加
    • G-protein coupled recepter 1988が9件 → 2005年14000件
    • 1997 → 2006年で500倍のアクセス数増
    • 分野横断的になったので,効率的に関連情報を収集して研究する必要
  • Linking text with knowledge
    • 単独では見つからない情報を集合的なデータから新たな発見を組み立てる
    • 知識の構造化,知識発見情報検索の三つの方向
  • 言語ドメイン と 知識ドメイン の間の対応は自明ではない
    • michel jackson が複数の人を指すこともあるし,king of pop も同じ人をさすこともある

Semantic Web と情報統合

  • well-defined meaning を持たせる
  • named entity問題:歴史的経緯などで同じ蛋白質に複数の名前がある
    • ほとんど同じだけど,種によって若干違うものも同じ名前で呼ばれる
  • テキストを構文解析しないと,タンパク質の性質についての記述などは取り出せない
  • Deep Parsing:節の間の関連をまじめに求める
    • 動詞を中心に,動詞の対象となるものなどを検索できる
  • Deep parsing の実用化
    • 処理速度の問題や,精度の問題があった
    • super tagging:単語ごとに,その周囲で生じることをローカルなルールとして記述し,それらの総体で文法のような働きをさせる(?)
      • コーパスから文法を拡張できるようになり,被覆率を向上
      • 確率計算の効率化
      • 確率の分布に基づいて探索を効率化

構造的な言語処理と機械学習

  • 述語を中心としたやりかただけではカバーできない複雑な構造はどうする?
    • parse した木構造のパスを特徴に使って機械学習の技術を適用

今後の課題

  • 遺伝子ネットワーク図とテキストの結びつけ
    • 利用者のセマンティクスと,蓄積された情報とをどうやって対応づければいいか?

1A2 機械学習クラスタリング

1A2-1 萌芽的概念抽出のための局所分枝限定探索を用いた概念プール掘削法

中島 健志,原口 誠,大久保 好章(北海道大学 大学院情報科学研究科)

  • レアな事象で,少数の特徴で記述されたものを見つける
    • 各特徴単独では高頻出なものを使うところがミソ

1A2-2 A Symbolic Representation for Multi-dimensional Trajectory

NguyenHuy Thach,鈴木 英之進(九州大学大学院システム情報科学研究院)

  • 軌道データのコンパクトな表現
    • 軌道の区分ごとに中心点を求め,それがどのグリッドに入るかで表現

1A2-3 Extracting Approximate Biclusters/Patterns from Time Series Medical Data using Suffix Trees

Muwazi Simona,Haraguchi Makoto(Hokkaido University)

  • 時系列中の増加・減少パターンを発見する.
  • 極大バイクラスタを見つける問題に該当するが,系列中に観測値なしのnullが問題になる.
  • 系列間の類似度は増加・減少をシンボルで表した系列のハミング距離で測る.

1A2-4 文字列カーネル動的計画法を用いたテキスト・音声のトピック分割アルゴリズム

佐土原 健((独)産業技術総合研究所)

  • 音声列を話題ごとの部分列に分割する
  • 認識誤りがあるので,音素レベルで処理する
  • 各ベクトルにしかない要素の削除,中心化の前処理
  • ベクトルの2乗ノルムを基準にクラスタリング

1G3-OS10 オーガナイズドセッション「OS-10 フィールドマイニング」

1G3-OS10-1 気づきのデザイン:フィールドマイニングの試み

松村 真宏(大阪大学 大学院経済学研究科)

計算機ではなく,人が発見する → それを促すための仕掛け

  • 動物園に筒がある → つい覗いてしまう → 象のフンが見つかる
  • 男性小便器のはえマーク → 飛散がなくなって清掃費の節約に
  • ペットボトルの回収箱 → キャップを入れる小さな穴
  • ベンチの真ん中の仕切り → 寝て占領できないように
  • 高速道路のオプティカルドット → 間隔や遠近感に工夫があって減速・加速を促す
  • 長い落下音が出るゴミ箱 → ゴミ箱へちゃんとものを捨てるように
  • カプトロジー:縄跳びや歩数計で計数することで,目標ができる
  • アフォーダンス:ドアのとっての縦横で,自然に押し引きが伝わる

1G3-OS10-2 環境光を利用した群集誘導に関する一考察

篠田 孝祐(産業技術総合研究所 知能システム研究部門)

  • 群衆の誘導
    • 集団重視:行動の目的を同一視
    • 個人重視:移動手段の選択
  • 光源の利用:光源の明暗は安心・不安に影響する

1G3-OS10-3 「記憶」と「記録」を緩やかに繋ぐメディアの実現に向けて

田中 和広,鈴木 亨,松下 光範(関西大学総合情報学部)

  • 写真が便利になったので,思い出と結びつけることができなくなってきた
    • その当時にあった出来事など,想起できる手がかりを与える

1G3-OS10-4 ライトニングトークとパブでの立食パーティーによるコラボレーション促進の試み

岡本 真(アカデミック・リソース・ガイド株式会社),大向 一輝(国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系)

  • ARGカフェ:5分ほどのライトニングトーク
  • ARGフェスト:立食パーティ
    • パーティでの交流を促進するのがライトニングトークの目的

1C4 エージェント「マルチエージェントシステム (2)」

1C4-1 未知の選好を含む最大安定度マッチングの定式化

境 良太,松原 繁夫(京都大学)

  • タスク割り当ては安定結婚問題
    • blocking pair:他のペアを壊してもペアになりたい要素をもつ → 安定結婚問題はこういうペアがないように
  • 選好情報が不完全なときに,最大限安定なようにしたい
    • 選好が未知の参加者の数によって,blocking pair である確率が求められる
  • blocking pair を決めうちして,そこから欲張り的な探索(?)

1C4-2 入札者の選好を考慮した検索連動型広告オークションの提案

櫻井 祐子(日本科学技術振興機構),横尾 真(九州大学 大学院システム情報科学研究院)

検索連動型広告オークション

  • 検索されると表示される広告
  • 広告主はクリックごとに払ってよい金額を入札
  • 掲載位置に依存したクリック率:下位のもの,掲載数が増えるほどクリック率は低下すると定義
  • 品質:広告内容とキーワードの関連
  • 現行:Generalized Second Price auction
    • 掲載順位は 品質×入札額 で決まる
    • j番目の支払い学は,品質×j+1番目の掲載順位の入札額 / j番目の掲載順位の入札者の品質
  • 現行手法の問題:掲載数を広告主は決められず,最大掲載数は固定 (独占できない)
  • 独占・複数掲載に対して入札額を表明可能:Ex-GSP-ExR

1C4-3 連成マルチエージェントモデルを用いた先物市場と現物市場のシミュレーション

大井 朋子,橋本 康弘,陳 昱,大橋 弘忠(東京大学大学院 工学系研究科 システム創成学専攻)

  • 現物・デリバティブの市場間の影響をモデル化したい
  • ベーシス:先物・現物の差 → 平均と裾が重い
    • 裁定,利益追求,ヘッジのそれぞれを目的とした参加者とノイズトレーダ
  • 先物だけのsingle-marketモデルと,現物と先物両方のtwo-marketを考える
    • 後者の方が値動きシミュレーション精度は低いが,ベーシスでは良かった

1C4-4 二重ネットワークを用いた言語変化

高橋 聡,山田 隆志,吉川 厚,寺野 隆雄(東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻)

  • 言葉の変遷についてのモデル
    • Language-game:言葉の普及過程に注目
    • 二重ネットワークモデル:社会構造に注目
    • 新たな意味に名前を与えたり,同じ意味に別の語が与えられていたりという事態
      → 表現が変わる → 収束する様子をシミュレーション
  • ネットの結合が疎だと分離,中間だと統合,さらに密だと混合語彙ができる

1A5 機械学習グラフィカルモデル

1A5-2 ベイジアンネットワーク学習アルゴリズム TPDA の高速化

森下 民平(株式会社シーエーシー),植野 真臣(電気通信大学大学院情報システム学研究科)

  • ベイジアンネットの構造学習:スコア&サーチベース と 制約ベース
  • 制約ベースのTPDA (three phase dependency analysis)
  • 辺の追加:一対のノード間に辺が必要かどうかを判定するには,取り除くとそれらが独立になる切断集合をみつけられるかどうか
    • この切断集合の発見を効率化する.前の段階での情報量の値を利用するのがカギ

1A5-3 データの非正規性を活用する因果構造探索法と事前情報の利用

稲積 孝紀,十河 泰弘,清水 昌平,河原 吉伸,鷲尾 隆(大阪大学 産業科学研究所)

  • 因果構造探索:データから変数間の因果関係を,データの非正規性を使って求める
  • ノード間の→はが入っている変数の線形ガウスモデルで,そのノードの出力が決まる
    • 線形ガウス以外のノイズ項を考えるのが非正規性を使う LinGAMモデル → 非正規なので依存関係の向きが計算できる
  • DirectLinGAM:線形モデルの係数と構造を求める
    • 変数の支配関係という知識を使って高速化 (?)

6 月 10 日 (木)

2A1 機械学習機械学習応用 (1)」

2A1-1 論文著者の貢献度推定

市瀬 龍太郎(国立情報学研究所),渡辺 曜大(会津大学コンピュータ理工学部)

  • [1975年は単著論文が30% ⇒ 2005年 約10%] → いろいろな知見を統合する必要性が高まる
  • 論文の生成モデル:文書 di ごとに著者 a を選択 → a に依存した話題 z を選択 → z に依存した誤の分布で文書を生成

2A1-2 局所線形モデルの整列による非線形システムの学習法

上甲 昌郎(東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻),河原 吉伸(大阪大学産業科学研究所),矢入 健久(東京大学)

2A1-3 論理プログラミングによる連濁現象の解析

小林 郁夫(慶應義塾大学 SFC研究所),諏訪 正樹(慶應義塾大学環境情報学部)

  • 連濁:単語が続くと アキ + ハコ = アキバコ と濁音になる
  • アクセントなどの情報を加味した特徴量を作ってILPで解く

2A1-4 素性推定器を用いたランキング学習

数原 良彦,片岡 良治(日本電信電話株式会社)

  • Learning to Rank:全クエリに対してラベル付けをするのは大変
  • クリックログを素性の生成に利用するとき,表示されなかったページにはデータがない

2C2 Webマイニング「属性抽出」

2C2-1 DLPO: Dynamic Landing Page Optimization

山本 覚(東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻,アイオイクス株式会社),松尾 豊(東京大学)

  • Landing Page Optimization:到着したページの内容を最適化
    • LPO を分析するために役立つ指標を作りたい
  • いろいろな指標の組み合わせを遺伝アルゴリズムで試し,訪問者数と線形の関係がある指標を作り出す

2C2-2 属性の相互関係を利用したWebからの属性抽出

谷 直紀(東京大学大学院情報理工学系研究科),ボッレーガラ ダヌシカ(東京大学 情報理工学系研究科),石塚 満(東京大学 大学院情報理工学系研究科)

  • 属性値候補抽出:正規表現や固有表現抽出
  • ある対象を記述する属性の共起情報を計算
  • 共起しやすい属性を正解とする

2C2-3 企業の公式Webサイトからの手がかり語を用いた基本情報属性抽出

鶴田 雅信(豊橋技術科学大学 電子・情報工学専攻),増山 繁(豊橋技術科学大学)

  • 企業の基本情報が掲載されたページと,そのページからの基本情報の抽出
    • 手法としてはヒューリスティック

2C2-4 検索エンジンを用いた人名読みの推定

酒巻 智宏(東京大学工学部システム創成学科),大向 一輝(国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系),丹 英之(株式会社アルファシステムズ 経営企画本部技術推進部),武田 英明(国立情報学研究所)

  • Wikipedia の人名読みでシードを見つけ,漢字+読みで検索し,()付きなど読みが書かれるパターンを抽出する
  • DPマッチングや共起頻度などに基づき最終予測結果を求める

2M1 招待講演『人工知能は哲学である』

黒崎 政男(東京女子大学)

概要:近世哲学の開祖のひとりホッブスは,有名な『リヴァイアサン』(1651)の冒頭で「人工人間(artificial man)」について述べる.「生命とは四肢の運動にほかならず,時計のようにバネと車でみずから動く自動機械は人工生命を持つと言ってよいのであるから,人間の技術は人工人間を創りうる」.ギリシャ時代のピグマリオン伝説をはじめとして,人類の歴史は常に人工人間の存在を想定してきた.これらに見られるような,アンドロイド(=man-like)型ロボットを想定するという人間の思想は,決してひまつぶしの,あるいは興味本位のものに留まらない.なぜならそれは,人間とはなにか,という哲学的問いのひとつの正当な視点にほかならないからである. 知能は記号的操作による演算のみで成立するのかそれとも直観的な働きが不可欠なのか.機械の心とは関係論的把握によって捉えられる虚焦点なのか.ロボットと人間の境界がメルトダウンしていくことの意味はなにか.これらについて論じてみようと思う.

AIはホッブス主義

計算と直観,ディープブルーとカスパロフ,プロ棋士の直感力

  • ホッブス「リヴァイアサン」(1651)
    • 機械で作った人工生物から,人造人間の可能性に最初のページで言及
    • 計算主義:考えること=計算すること(ホップス「物体論」1655) → ライプニッツに引き継がれる
      • 思考は記号処理過程で記述できるとするAIの古典的発想と関連
  • デカルトの二元論:精神と物体
  • これを否定したホッブスの一元論的唯物論:物体以外のものはないとする考えは,現代科学の源流

唯物論+計算主義 以外の同時代の哲学

  • パスカルの直観的認識の主張
    • 直観:一瞬で全体を見渡してしまうインテレクス,最近は高い次元の認識は否定される傾向
    • 計算主義と対決する直観主義
  • 両者の統合としてのカント哲学

人間はチェスで負けたのか?(1995)

  • 2億手のランダム読み vs 数手の意味ある読み:質に対する量による対抗
    • 目的を非常に絞り込んだことも成功の原因
    • ドレィファスは70年代にコンピュータはチェスを指せないといっていたが,当時のプログラムに負けた「コンピュータはチェスを指せない,ドレイファスもチェスを指せない」
  • しかし,直観に基づく数手の人間の手が,2億手に匹敵したともみれる

アマチュア=プロ棋士=羽生名人

  • 将棋中に使われる脳の部位:アマ:前頭連合野,プロ棋士:前頭連合野+大脳基底核,羽生名人:前頭連合野+大脳基底核+脳幹網様体+嗅周皮質 (理研:田中啓治)
    • プロや名人の方が,計算的な部分の前頭連合野だけではなく,動物的な部分の部位も使われることが分かった

ロボットの心は虚焦点

アンドロイド(man-like),意味の投げ込み,人間の自己理解の変容

  • 生命を持ってこころを持つというのは,長い間実現しないんじゃないか?
  • ELIZAの例
  • こころがあるかどうかを考えるとき,こころを人が見いだしてしまう → ロボットの心は虚焦点
    • 人間は意味を付与する存在 → 文字列の背後に意味を読み込んでしまう

man-likeなジェミノイド:人間にこころを感じさせる → 意味の投げ込みを感じさせる

  • 石黒先生:人間とは,相手がこころを持っていると信じられるもの → さらに,ロボットも同様になることが,ロボットが社会で活躍するために必要だと主張
  • 黒崎先生:前者には同意できるが,ロボットにはこころがないと考えてないと,社会が混乱する
  • 激論になる:ロボットは相手にこころを意識するような存在であるべきかどうか?
  • 人間の人間に対する理解は時代とともに変わっていくだろう

2F3 AIレクチャー1「数値演算ソフトウェア GNU Octave Ver.3 による信号処理」

苣木 禎史 (熊本大学)

http://kaigi.org/jsai/webprogram/2010/session-134.html

概要:本論文では,数値解析ソフトウェアである GNU Octave Ver.3 を紹介する.Ver.3 になり,さらにMATLABとの互換性が高くなった無償で利用できるソフトウェアである.インストールから利用の仕方について述べる.また,ツールボックスを用いて信号処理の具体的な例を示す.

octave

  • 数値計算のためのインタープリタ言語,いろいろな関数群,gnuplotを使った可視化
  • 1988: J.Eaton が化学工学の講義用に開発,1992: full-timeで開発,現在 Ver.3.3.51
    • Octave は Eaton の師の名前
  • 同種のソフト:商用 matlab,Scilab/Xcos(SCICOS),FreeMAT,MaTX など
    • これらは基本的には文法はほぼ同じ m言語 だが,方言がある

構成

  • OCtave自身は,インタプリタとフロントエンド
  • 演算ライブラリ:ATLAS,LAPACK,グラフィックス:gnuplot,GUI:qtoctave など

2F4 AIレクチャー2「透明なインタラクション」

稲見 昌彦(慶應義塾大学)

概要:UIの観点から人と情報世界との関係を考えたとき,「ディスプレイ」と名付けられたデバイスが象徴するように,いかに情報を現前させるか,加算するかということが重視されてきた.制御には加減が必要であり,情報を減算するための研究も重要である.インタフェースそのものの存在を認知的に透明にすることで,人は自らの能力が拡張したかのような感覚を得ることができる.本講演では人のI/Oの拡張を目指したAugmented Humanの研究を紹介するとともに,透明人間インタラクション,透明ロボットについても触れる.

  • Optical Camouflage
    • 背景に写したカメラの画像,ハーフミラーを通して合成し,透明人間に
    • ドアの内側に,車のタイヤ周りを透かして見せる

動機

  • 19世紀のPepperの幽霊:ハーフミラーを使って,骸骨と人間にライトを当てると,棺桶の中身が入れ替わって見える → ARのはしり?
    • 科学・芸術・エンターテイメントは渾然一体だった
  • 最初の再帰性投影技術:紙があるところだけ,骸骨になるシステム
  • 身体機能/体験拡張へのアプローチ
    • 洗練された技術は魔法と区別がつかない --- A.C.クラーク

インターフェース

  • 物理世界と情報世界をつなぐ
  • 情報空間と現実空間の「界面活性剤」→ 物理-情報間のきれいな境界ではなく,混ぜ合わせたい
  • AI的視点とUI的視点
    • UI: Real (現実)ではなく,Reality (現実感)の学問 → 鏡をつくる
    • AI: 鏡に映った自分を作る

透明性

  • 出すことから消すことへ:加減ができると制御ができる.
    • 認知負荷を減らす:たくさんの情報パネルが出ているAR画面はいいのか?
  • 視覚的減算:重なった本の山を検索できる Limpid Desk (岩井@阪大)
  • 透明なUI・透明なAI
  • Stop Motion Goggle:人の目のダイナミックレンジを変える
    • 人の目は動きに弱い → 超高速のシャッターでぶれをなくす
    • パチスロの目押しができるようになるぐらいのことができる
  • Smart Tool:手の機能強化
    • メスの先にセンサーがあり,ロボットアームで動きを補助する
    • フリーハンドで切っても,黄身のところをきるには抵抗感を持たせて,白身だけを切ることができる.
  • ガルバニック(?) ぜんてい感覚を刺激するところに電極をつけて,電位差をつけると,その方向へ体がうごく
    • ラジコン人間・自動危険回避
    • 2ヘルツぐらいで揺らすと,体の傾きと認知されず,周りが揺れているように感じる

認知的透明性:無意識に利用できる道具

  • バイモーダル・ニューロン (入來@理研)
  • AIも透明になれる:Augmented Intelligence
    • かな漢字変換:膨大な計算をしているが,それは表には見えない
  • AR は かつて Artificial Reality

透明なものを提示

  • 透明人間をどう提示する:見えないのに分からせるには?
    • パントマイムのように,実体のある物がバーチャルに影響を受けるような感じ
  • ラジコンとCGを合成するUI.3DCGより迫力がある
    • リアルなものによって,しょぼいCG部分を強化する
  • interaction=action + reaction:現実からのリアクションを利用する

工学に身体性を取り戻す

  • 身体・タスクの分離からの揺り戻し
  • AI と UI の統合

6 月 11 日 (金)

3J1-NFC1a 近未来チャレンジ「NFC-1a (サバイバル)計算論的日常生活行動理解: オープンライフマトリクス1」

3J1-NFC1a-1 確率モデルを用いたTV視聴データの分析

村上 知子,中田 康太(株式会社東芝研究開発センター)

  • cold-start 問題の調査
  • デモグラ情報+クラスタリング単純ベイズ,GroupLensの三つの方法
  • TV と movieLens の2種類のデータ.TVはユーザが少なく,アイテムが多い.
  • movieLens:GLは新規アイテムに強い,デモグラはどちらにも強い
  • TVデータ:内容ベースは新規アイテムに強い

3J1-NFC1a-2 日常購買行動に関する大規模データを融合したベイジアンネットユーザモデル

石垣 司,竹中 毅,本村 陽一(産業技術総合研究所 サービス工学研究センター)

  • pLSA型のクラスタリングだが,潜在クラスタが顧客とアイテムがある
    • そして,潜在顧客カテゴリに潜在商品カテゴリ依存
    • AICなどを使って顧客は6カテゴリ,アイテムは12カテゴリに分類
    • 定性的な分析がいろいろできる
  • そのカテゴリを使ってベイジアンネットを作って予測に役立てる

3J1-NFC1a-3 外食産業におけるサービス工学の実践

竹中 毅(産業技術総合研究所サービス工学研究センター),新村 猛(がんこフードサービス株式会社,産業技術総合研究所サービス工学研究センター),石垣 司,本村 陽一(産業技術総合研究所 サービス工学研究センター)

  • 外食産業
    • 就業者は全人口の7%,30台までが60%,離職率が高い
    • 価格を下げても売り上げも下がる状態
  • 非常に高い廃棄量:途上国の1500万人文の食料を廃棄している
    • 多すぎるメニューなど過剰サービスが原因 → メニューの再編で改善できる可能性
  • 顧客IDなしのPOS端末 + ハンディ端末
    • 商品ごとに待ち時間とともに作るものが厨房で表示される
    • 15分以上待つと怒るので,遅れそうなときは声を掛けると20分まで待ってくれる
  • メニューのレイアウトと購買行動
    • Zの法則とよく言われるが,実際に調査すると左上が内容にかかわらず販売量は増加する
    • 左上に高価なものを並べると客単価は上がる → それで満足度も上がるか調査
  • 接客行動の調査
    • サクラの顧客を使った調査.観察により行動軌跡や,行使した接客スキル,その後,自分の行動を見ながらその意味をインタビュー
    • スキルの差は「気づき」の差
    • 女将:顧客の重視するポイントとの乖離が大きいところと,非常によいところの振れ幅が大きい
      • くつろぎたいときに料理の長い説明 ⇔ 暗黙的な期待に応え

3J1-NFC1a-4 医療現場で蓄積されている大規模データの有効利用に向けて

阪本 雄一郎(佐賀大学),益子 邦洋(日本医科大学千葉北総病院),本村 陽一(産業技術総合研究所 デジタルヒューマン研究センター),西田 佳史(産業技術総合研究所 デジタルヒューマン工学研究センター),石垣 司(産業技術総合研究所 サービス工学研究センター),横田 裕行(日本医科大学)

  • 欧米から数10年遅れて,外傷データベースが作られるようになった
  • 不慮の外因死は死因の5位,1〜29歳では1位
  • アメリカの外傷DBの効果:回避可能な死の回避率 60年代:25.6-51.5 → 80年代広範0.9-20.7
  • 日本 2002年:40%が避け得た外傷死=アメリカの70年代
    • 外傷医療は非常に遅れている.病院間で格差が大きい
  • 救命救急師が救急車に同乗しているのは傷のひどいときには有効,輸血も有効
  • JTRISS:生存に関わる予測指標の日本版
    • 女性の方が基本的に男性より助かりやすい

3F2 AIレクチャー4「from toy "real problem" to real "real problem": 社会におけるAI研究会の挑戦」

松原 仁(公立はこだて未来大学)

概要:「社会におけるAI研究会」は,社会の様々な問題に対し,AI分野の様々な知見を適用することで問題解決を図る事を目的として,2006年に人工知能学会第二種研究会として活動を開始している.AIは積み木の世界を離れて実世界を対象としようと言われて久しいが,実世界といってもAI技術がうまく適用できる単純な実世界を対象とすることが多かった.本研究会は複雑な実世界を対象とする研究を志向している.複雑な実問題に対してAI技術のみで対応できるなどということはありえない.AI技術以外のさまざまな要素を組み合わせることではじめて対応できるようになる.そのため従来はAIの成果を示すための対象として適当ではない(もっと端的に言えば論文が書きにくい)という理由で正面から社会的に重要な問題を取り上げることを避けてきたと思われる.このままでは AIはいつまでも実問題に対応できない.本研究会では技術の一つとしてAI技術を含むような取り組みを積極的に取り上げていく.

AIの歴史

  • toy problem,block world への批判
  • 知識工学,エキスパートシステムは実世界の問題に取り組もうとした
  • この実世界も切り出した実世界だった → 本当の実世界は難しいが取り組もう
    • うまくいったときに,どの要因が効いていたのかよく分からない
  • 例:観光,農業,ロボカップ

観光振興

  • 日本が最近注力している産業の一つ
    • 観光立国推進基本計画(2007),観光庁設立(2008),道南広域観光プロジェクト

函館市:2009年に札幌を抜いて魅力度ランクが1位,観光意欲ランクでも1位

  • 入込数(来る人):H20年度456万 (自治体によって計算式が統一されていないけど)
    • しかし,年々減少している
  • 函館はリピータ率が高い (54.2%)
  • 年齢層:50代以上57.4%,若年層は魚がおいしいことに魅力を感じない
  • 観光振興にITを活用する:箱物は作れないので,ソフトでどうにかしたい
  • 観光情報学会:研究会が観光地ごとにある
  • 観光情報の多言語化:国際化したいが,頻繁に外国語の情報を更新するコストは大きい
    • 言語グリッドという国際プロジェクト資源を利用
    • 観光系は固有名詞が多いので,その辺を使うと機械翻訳も使える
  • 聖地巡礼:アニメの舞台を巡る
    • クレヨンしんちゃん・亀有とかでは起きない現象
    • 鷲宮町=らき☆すたの例 → 30以下が61%が多い,マナーは多い
    • 函館が舞台のノエイン:マイナーだが若干は来る
  • 年配者向けの観光支援
    • 持病や糖尿病などへの対処
    • ヘルスツーリズム:医療+観光(花粉症を避けに北海道に)
    • 観光中のデータを集める

農業

  • 情報技術を使った農業
    • 高齢化,ノウハウの継承の問題
  • センサーネットなどを使って状況データをとり,農家の人の意志決定情報
  • プロセスの定型化,機械化,自動化
  • 日本は単位面積あたりの収量が非常に多い
  • 似た天気の年はあっても,同じ天気はない → 農家の人のメタ知識の外在化
  • トマトとイチゴ:現状うまくいっている → ちゃんと作ると高く売れる
    • 阪急・阪神百貨店と提携農家で実証実験
    • いちご産地のWeb中継

ロボカップ

目標

  • 2050年までに人間のWC優勝チームにFIFAのルールで勝つ
    • 北野さんが言ってしまったことで決まった
  • ロボット5台 + 日本代表6人 でワールドカップで優勝
  • 自立型のロボット
    • 実時間性,部分観測
    • 1989グランドチャレンジ会合,1993発案
    • IJCAI-01 までは合同だったか,それ以降は独立開催
  • ロボットの管理などのノウハウもないと勝てない
    • ロボット技術やノウハウのどれが効いているのかよく分からない

質問

  • ここに挙げた以外にもいろいろ関わったが,コミュニティ作りのレベルまでの成功に持ち込めたのはこれくらい
    • 動かないといけない事情のあるボランティア的に動いてくれるまとめ役の人がある程度人数がそろう
  • イチゴの売り上げ増
    • 一つは宣伝効果とかも考えられるが,原因の調査は進んでいない
  • 観光は宣伝効果が大きい → 宣伝効果の暗黙知の外在化
    • 店舗ごとのノウハウなどを観光地としてベースも上げたい
  • インタビューとかのデータとセンサー情報のすりあわせ
    • 行動をビデオカメラにとるとか客観情報の強化を図る
    • インタビューの解釈は難しいそう

3C3 ヒューマンインタフェース・教育支援「推薦システム (1)」

3C3-1 個人の行動変更許容度と行動変更波及効果を考慮した健康生活支援推薦システム

小池 亜弥,白井 康之((株)三菱総合研究所 情報技術研究センター)

  • 行動履歴から,個人の許容度を考慮しつつ,健康のための行動改善プランを提示
  • 行動計や体重計を被験者につけてログをとる
  • 行動アイテムの波及効果:他の行動を促進したりする行動
  • 匿名化されたアドバイス:すでに同様の改善をして,その人のアドバイスを提示してモチベーションを上げる
  • 提案手法による提示は,アドバイスを附加したことで,目新しさに高い評価

3C3-2 様々な状況を考慮したユーザに適するダイエットのためのレシピ推薦

三野 陽子,小林 一郎(お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科理学専攻)

  • 栄養バランスのとれた,ダイエット用レシピの構成
  • イベントによる変動を考慮,レシピ候補から,目標カロリーを達成するようなレシピの組み合わせを線形計画で求める

3C3-3 セレンディピティに基づく推薦システム

佐藤 史盟(電気通信大学情報理工学研究科総合情報学専攻),大瀧 篤,服部 清彦,佐藤 寛之,髙玉 圭樹(電気通信大学)

  • 入力された商品属性の一部の削除・追加を行うことで,より幅広い範囲の商品を推薦する
  • 候補範囲を広げるかどうかは利用者が選択できる

3C3-4 カスタム価格設定推薦システム

神嶌 敏弘,赤穂 昭太郎(産業技術総合研究所),佐久間 淳(筑波大学 システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻)

質問

  • みんな定価で買わなくなる?:一度定価だったら定価のまま,割引をスルーしたら2度目のチャンスなし.人間の価値は個人的だから
  • つかう特徴は?:デモグラフィックな特徴とモデルのパラメータ.デモグラフィックな特徴は価格カスタム化の研究で使われている.
  • 価格の設定も自動でできる?:2段階を,10%引き,20%引きと多段階にすれば理屈では可能だがまだやってない

3A4 データマイニングテキストマイニング (2)」

3A4-1 言語横断テキストマイニング

海野 裕也(日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所),那須川 哲哉(日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所)

  • 多言語マイニング
    • 機械翻訳してしまうのは,内容が一般的ではない資料とかが対象では難しい
    • 途中で翻訳せずに,最終の知見だけを翻訳する
  • テキストの不定型情報とDB中の提携情報から自己相互情報量が大きなものをピックアップする
  • 専門用語の訳語:専門用語と共起する原語の集合を見つけ,それを訳語に辞書で変換し,それらと同様に共起する語を専門用語の訳語とする

3A4-2 N-gramと決定木による筆者識別

谷口 裕大,殿生 剛士,杉村 博,松本 一教(神奈川工科大学 情報工学部)

  • n-グラムの高頻度のものから分類用の素性候補に,ラッパー型で選ぶ.

3A4-3 オンラインディベートにおけるテキストと行動に基づいた意見の分類

村上 明子,ルディ レイモンド(日本アイ・ビー・エム(株)東京基礎研究所)

  • 与えられたテーマに対するテキストから賛成・反対を識別
    • 掲示板などでは,リプライ関係の同意・反対の情報を利用し,その局所的な関係に基づいて全体のテーマへの態度を予測する
    • 同意・不同意の関係をリンクの重みとして,重みの総和を最大化するグラフの分割になる
    • 同意・不同意の識別はSVMでやったが,精度はよいが,再現率は悪い

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Last-modified: 2010-06-12 (土) 15:01:24 (2374d)